CITROEN 2CV(ドゥシーボー)

いいわぁ。
でも、「一度は所有したいクルマ」ではない。
この年式なら、ルノー・キャトルがいいかな。
さて、仕事のお話。
最近、いろいろな会社で聞くのが、
「人が採れない」
「若い社員がすぐ辞める」
「昔と違って我慢しなくなった」
という話。
確かに採用は難しくなった。
厚生労働省の調査でも、2024年の離職率は全体で14.2%。
一般労働者でも11.5%だったという。
そして今は転職もめずしいものではない。
だから、人が辞めること自体を完全になくすことは出来ないし、
そもそも離職率ゼロが良い会社とも限らない。
でも、「最近、やたらと人が辞めるな」となった時に、
「最近の若者は」
「根性がない」
「もっと我慢すればいいのに」
だけで片付けてしまうのは、ちょっと危険だと思う。
もしかすると、人が辞めているのではなく、
会社が人を辞めさせているのかもしれない。
人は会社を辞めるのか、人を辞めるのか
昔から、「人は会社を辞めるのではなく、上司を辞める」なんて言われる。
実際には給与だったり、勤務時間だったり、家庭の事情だったり、
キャリアアップだったり、退職理由は様々なので、全部が上司のせいというわけではない。
でも、長く組織を見ていると、確かに人が辞めやすい職場と、なぜか人が残る職場はある。
そして面白いのは、同じ会社でも部署や事業所によって全然違ったりすること。
給与体系は同じ。
休日も同じ。
福利厚生も同じ。
会社の看板も同じ。
なのに、片方の部署では人が定着し、もう片方では次々と辞める。
となると、違うのは制度ではない。
そこにいる人と、そこでつくられている空気。
つまり企業風土、もっと小さく言えば「職場風土」なのだと思う。
会社の文化は、理念ではなく「日常」に出る
多くの会社には立派な経営理念がある。
「社員を大切にします」
「社員は家族です」
「挑戦を応援します」
「お客様とともに成長します」
「風通しの良い組織を目指します」
素晴らしい。
ホームページにも書いてある。
会社案内にも書いてある。
事務所にも額に入って飾ってある。
問題は、本当にそうなのか?ということだ。
若手が意見を言った時に、「まだ分からないだろ」で終わっていないか。
失敗した社員に、「なんでこんなことしたんだ」だけで終わっていないか。
上司と違う意見を言った人が、なんとなく扱いづらい人になっていないか。
会議では「何でも言って」と言いながら、本当に何か言ったら空気が凍ったりして。(笑)
それを何度か経験すれば、社員は学習する。
「この会社では余計なことを言わない方がいい」と。
こうして会社の文化が出来上がる。
企業風土というのは、経営理念に書かれている言葉ではない。
その会社で何をすると褒められ、何をすると嫌な顔をされるのか。
その積み重ねなのだと思う。
辞める社員だけを分析しても意味がない
社員が辞めると、
「退職理由は何だった?」
「給与?」
「人間関係?」
「家庭の事情?」
と聞く。
もちろん必要なことだ。
でも、本当に見なければいけないのは、一人ひとりの退職理由ではなく、
「どこで辞めているのか」なのではないだろうか。
会社全体の離職率が10%だったとしても、それだけではよく分からない。
A事業所は3%
B事業所は5%
C事業所は25%
だったとしたら。
問題は会社全体ではなく、C事業所にある可能性が高い。
さらに、
入社1年以内が多いのか。
3〜5年目が多いのか。
若手なのか。
中堅なのか。
管理職なのか。
ここまで見て初めて、離職率が経営データになる。
特定の部署、特定の上司、特定のタイミングに退職が集中しているなら、
それは偶然ではないかもしれない。
離職率は、人事の数字であると同時に、組織の健康診断でもある。
「辞めた人が悪い」で終わる会社
退職者が出た時、その会社の文化がよく分かる。
「あいつは根性がなかった」
「そもそもウチには合わなかった」
「最近の若いヤツは仕方ない」
こうして終われば簡単だ。
辞めた人はもうそこにいないから反論もしない。
残った側だけで、「自分たちは悪くなかった」という結論をつくることも出来る。
これは非常に楽である。
でも、それを10回繰り返して10人辞めたとしたら。
本当に10人全員に問題があったのだろうか。
さすがに一度くらい、「もしかして、こっちにも何かある?」と考えた方がいい。(笑)
厳しい会社だから人が辞めるわけではない
ここも勘違いしやすい。
優しい会社にすれば、人が辞めなくなるわけではない。
何でも許す。
注意しない。
目標も低い。
責任も求めない。
そんな組織が良いわけでもない。
スポーツの世界ならもっと分かりやすい。
強いチームの練習は厳しい。
コーチから厳しいことを言われることもある。
レギュラー争いもある。
結果も求められる。
それでも選手が、「ここで頑張りたい」と思えるチームはある。
逆に、それほど厳しくないのに人が離れていくチームもある。
違いは何か。
たぶん、その厳しさに納得感があるかどうか なのだと思う。
なぜこれをやるのか。
何を目指しているのか。
頑張った先に何があるのか。
自分の成長を見てもらえているのか。
それが分かれば、人は意外と頑張れる。
一番しんどいのは、意味の分からない厳しさ。
昨日と言っていることが違う。
人によってルールが違う。
上司の機嫌によって判断が変わる。
頑張っても評価されない。
何を目指せばいいのか分からない。
これは疲れる。
人が辞めない会社より、人が育つ会社
個人的には、離職率を下げることそのものを目的にする必要はないと思っている。
会社と本人の方向性が違えば、別の道を選ぶこともある。
もっと挑戦したい人もいる。
違う仕事をしたい人もいる。
独立したい人もいる。
それはそれでいい。
むしろ、誰も辞めない会社が必ずしも健全とは限らない。
大事なのは、
「辞めたくなる会社」なのか、「成長した結果として次に進む人もいる会社」なのか。
同じ退職でも、まったく意味が違う。
そして本当に良い会社なら、退職した人とも関係が続くことがある。
取引先になる。
仕事を紹介してくれる。
また一緒に仕事をする。
場合によっては戻ってくる。
「辞めたら裏切り者」みたいな会社では、こういう関係は生まれない。
人材が会社の中だけにいる時代ではないのだと思う。
退職者は、会社への最後のメッセージを持っている
退職する人は、その会社についてかなりの情報を持っている。
何が良かったのか。
何が嫌だったのか。
どこで気持ちが切れたのか。
何を変えてほしかったのか。
これは結構貴重な情報だ。
ただし、退職面談で、「何か会社に不満があった?」
と直属の上司に聞かれて、本当のことを全部言う人は少ないだろう。
ワタクシなら言わない。(笑)
だから退職理由を本当に経営に生かしたいなら、
聞き方や聞く人も考えなければいけない。
そして、退職者の言葉を、「辞める人の言い分だから」と処理しないこと。
もちろん全部を真に受ける必要もない。
でも同じような話が何度も出てくるなら、
それは個人の問題ではなく組織の問題かもしれない。
離職率は「結果」である
結局、離職率という数字だけを追いかけても、あまり意味はないのだと思う。
離職率を下げよう。
面談を増やそう。
福利厚生を充実させよう。
社内イベントをやろう。
エンゲージメントを高めよう。
もちろん、それぞれ大切。
でも、本質はそこではない。
日々、社員がどんな気持ちで働いているか。
意見を言えるか。
挑戦できるか。
失敗できるか。
成長を実感できるか。
ちゃんと見てもらえているか。
仕事に意味を感じられるか。
そして、上司を信頼できるか。
そういう毎日の積み重ねの最後に、
「この会社でもう少し頑張ってみよう」がある。
離職率は、その結果として出てくる数字なのだ。
人が残る理由をつくる
人手不足だから採用する。
採用できないから広告費を増やす。
求人媒体を増やす。
採用サイトをきれいにする。
初任給を上げる。
もちろん必要だろう。
でも、せっかく採用した人が次々と辞めていくなら、
蛇口を全開にしながら、底の抜けたバケツに水を入れているようなものだ。
まず穴を塞いだ方がいい。
そして、その穴は制度ではなく、会社の文化に開いているかもしれない。
採用力を上げる前に、定着力を見る。
定着率を見る前に、企業風土を見る。
そして企業風土を見るなら、
経営者や管理職が普段どんな言葉を使い、どんな態度で社員と接しているかを見る。
たぶん、そこまで遡らなければ本当の原因にはたどり着かない。
人が辞める会社には理由がある。
そして、人が残る会社にも理由がある。
「最近の若者はすぐ辞める」で終わらせるのは簡単。
でも会社を良くしたいなら、
「なぜ辞めたのか」より、「なぜここで働き続けたいと思えなかったのか」
を考える。
離職率とは、社員から会社に届く、少し遅れてやってくる通知表なのかもしれない。
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