TUMIである。
歴代使ってきたカバンに比べると、倍近い値段がするのだが、
耐久性が半端じゃないと聞いて、思い切って購入した。
実際、いままでのカバンが1年くらいでヘタったのに比べ、
かなり頑丈でヘタリは少ない。
ただ、ファスナー部が擦れて毛羽立ったりと、
一部のパーツの耐久性には不満もある。
ファスナーの取っ手がなくなるのだ。
なんでこんなところがなくなるのだろうと、ちょっと調べてみたらところ、
ファスナー部に大きな力が掛かると、ファスナー破損回避のために
取っ手が外れるようになっているらしい。
フ~ン、そういうものなのか。
しかし、そんな大きな力を掛けた覚えは無いのだけど。
何より、この取っ手、TUMIのロゴ入りのオリジナル。
どこでどうやって手に入れれば良いのだろう。
そもそも、名称は「ファスナーの取っ手」で良いのか?
困ったものである。
話は変わって、先日のこと。
Ken’s千葉で新人コーチのレッスン見学をしていたところ、
女性の会員の方にお声掛けいただいた。
Sさんという方である。
「私、コーチ(ワタクシのこと)のレッスン、受けたことあるんですよ」
大変申し訳ないのだが、記憶に無かった。
聞けば、「振替レッスンで受けたことがある」ということのようだった。
ワタクシ、Ken’sオープンの頃からレギュラークラスは
担当していないので、おそらく15年以上前のことだと思われる。
もしかしたら、Ken’s以前のクリエイティブテニスガーデンでの
ことかもしれない。
しばらくお話しをさせていただいた。
なんと、このSさん、数年前に脳梗塞を患ったのだそうだ。
テニスのためにトレーニングに通うほどテニスが楽しくて、
長年、Ken’sに通ってくださっていた。
しかし、ようやくStep4(中上級くらい)に進級した矢先、
寝ている間に脳梗塞を起こしてしまったそうだ。
命は取り留めたが、左半身に麻痺が残り、
リハビリの日々が続いたという。
それから1年ちょっと、SさんはKen’sに復帰を果たす。
「どうしてもまたテニスがしたくて、再入会したんです」と。
足はトレーニングをしてきたおかげか、
何とか動いたので、コーチの勧めで、
Step2から再スタートを切ったという。
「松元コーチ(現エストーレ担当)が、クラスの中で私だけの
別メニューを考えてくださって、ゆっくりスタートさせてくれたんです」
しかし、左手はまだ上手く動かなかったそう。
「松元コーチが、ラケットにボールを乗せて
トスをすれば良いと教えてくれました。
それで、ああ、こうすればまたサーブが打てるんだなって」
話しは続いた。
「でも、そのうちラケットにボールを乗せてのトスじゃ物足りなくなって、
やっぱり左手でトスを上げたいって思って、挑戦中なんです。
今年の目標はトスを上げてサーブを打つだったんですけど、
今日で今年のレッスンは最後だったから、目標は来年に持ち越します」
「もう60才も過ぎたんだけど、やっぱりまだ頑張って
サーブ打ちたいなって思って、リハビリの先生にも、
『先生、とにかく私、トスを上げたいんです』ってお願いしてるんです」
柔らかく微笑みながら淡々と話しは続いた。
ワタクシ、必死で涙が出そうになるのを堪えるしかなかった。
大変な病気になっても、またテニスをしたいと思ってくれる、
こんなにテニスを好きでいてくれる方がいらっしゃる。
そして、戻ってくださる場所にKen’sを選んでくださる。
「また、サーブを打ちたい」と挑戦し続けてくれる。
ワタクシたちは、テニスの楽しさ素晴らしさはもちろん、
テニスを通じて喜びや感動を伝えたいと日頃から考え、
話し合い、社是にも掲げている。
そんなワタクシたちが、テニスを通じて逆に感動をいただいた。
本当に感謝である。
ワタクシがまだコートに立ち、
レッスンをしていた頃からのお客様が
今もKen’sに通って下さっている。
18年前だったか、スクールのスキーツアーでは
色々と仕切っていただき、大変お世話になった方だ。
数年前、Ken’s千葉でお声掛けいただいた。
「コーチ、手術するからしばらく休むね」
「えっ?どうされたんですか?」
そのシリアスな病名に言葉も見つからなかった。
「絶対にまた来てくださいね!」と言うしかなかった。
その方も見事に復帰された。
今もワタクシを見かけると声を掛けてくださる。
通ってくださる皆様それぞれに、様々なバックボーンやある。
そんな中、Ken’sに足を運んでいただけるというのは
なんとすごいことなのだろうとあらためて思った。
ワタクシたちは、まだまだ足りない。
まだまだ出来ることがあるはずと思いつつ、
感謝感謝の年末のある日だった。
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