ジャッジの話 その4

復帰したばかりのクリスターズがビーナスに勝っちゃった。

スゴイ試合だった。
ストリートファイトっていうか、ガチンコの殴り合いっていうか、
とにかく全編引っ叩き合いの対決だった。
ビーナスが膝に故障を抱えていたとはいえ、
クリスターズのショットの破壊力は完全に
ビーナスを上回っていた。

面白いっていうか、とにかく爽快な試合だった。
次も楽しみだ。

あとはエナンの復帰か?
やっぱり無いかなぁ。

さて、いい加減長いけど、ジャッジのお話。

ここまでの話は、野球のジャッジは難しいってことと、
プレーヤーやベンチからやたらと声が飛ぶので
やり辛いってことだった。

では、テニスではどうだろう。

ワタクシ、テニスを始めるとき、先輩から何度も
「紳士のスポーツだから」と言われた。
まあ、そうは言っても高校のテニス部だから、
紳士っていったってたかが知れている。

しかし、ジャッジについては「疑わしきは相手に有利に」と叩き込まれたし、
プレーを妨げるような行為はご法度であることなど、
スポーツにおけるマナーを厳しく言われた記憶がある。

なんせ、ワタクシたちのテニス部のコーチをしてくれていたのが、
テニスコートのすぐ裏のお寺の和尚さんだったから、
なおさら、規律とかマナー、フェアプレーには厳しかった。
当時は、「さすが仏様に仕える御方」と尊敬していたが、
教え子のワタクシたちも大人になった頃、
実は酒も飲むし、酒癖も悪いと聞いて、
「なんだ、生臭坊主かよ」とちょっとだけ思ったのは秘密だ。

とにかくこの初期段階で教えてもらった、テニスとは何ぞや
ということが、基本になっていることは確かである。

テニスの審判制度であるセルフジャッジは、
他競技から見るとかなり違和感があるらしい。

自分のコートに打たれた相手のボールを
自分でジャッジするというのが理解し難いようだ。
確かに、正確性や公平性に疑問が無いかと言えば
難しい部分はあると思うし、トラブルもよく聞く。
しかしこのセルフジャッジこそが、前述のような
テニスたる競技の根本を表現しているのかもしれない。

ワタクシがテニスを始めた頃、セルフジャッジは無かった。
そのコートでの前の試合で負けた選手が
審判台に上がるという、敗者審判制度だった。

「試合に負けた(弱い)選手のジャッジは信頼できるのか?」
といった不信感などのもとに廃止になったのだったっけ?
とにかく今は敗者審判制度は見られず、セルフジャッジになっている。

昔の話を。

ワタクシ、大学では体育会テニス部には入らなかった。
高校時代、それなりにテニスは一所懸命やったし、
大学で競技をするつもりは無く、テニスサークルに入った。

1年生の時、学園祭でテニストーナメントが行われた。
体育会テニス部主催で毎年恒例のものらしい。
ワタクシも何の気なしにエントリーしてみた。

1回戦、体育会の1年生だった。
運良く勝つことが出来た。
2回戦も体育会の選手。
これも何とか勝てた。

サークルとはいえ、まだ高校で頑張っていた貯金がある。
体育会でも1年生ならあまり差はついていないのだ。
(その後、大きな差がつくのだが)

結局、3回戦か4回戦で負けた。
ベスト8か16だったと思う。

負けたワタクシは、ルールにより敗者審判についた。
その試合は、体育会の強い(であろう)上級生選手同士だった。

試合がはじまった。
ボールはそんなに速くないのだが、互いの気迫がスゴイ。
問題はその気迫がジャッジに対しての文句となることだった。

  「おいおい!アウトかよ!」

  「入ってねえかぁ?!」

ライン付近のボールに対して必ず何か言ってくる。
明らかにアウトのボールもいちいちネット際に行って
ボールマークを確認する。
平たく言うと、ネット以外のボールはすべて文句なのだ。

こんな態度をすることで、自分に有利なジャッジに
持っていこうと思っていたのかどうかは分からない。
戦意をこういう形で表現することをカッコ良しとしていたのか、
それが部の伝統なのか、それが体育会テニスなのかも分からない。
ワタクシがサークルの1年坊主だったから、
舐めていたのもあるのかもしれない。
とにかくとても気分が悪かった。

「これが勝つためのテニスなのか?」
疑問だった。
もう2度とここで試合はしたくないと思った。
以降、3年間一度もエントリーしなかった。

文句を言ったり、これ見よがしにボールマークを確認して、
何かを有利に持っていこうという行為は
およそフェアプレーの精神とはかけ離れたものだ。
非常に悪質だと思う。

こういった駆け引きは普通のことなんだろうか。
そうは思えないのだけれど。
とにかく、敗者審判制の頃のいちばん嫌な思い出だ。

野球の野次や掛け声を聞いて、そんなことを思い出した。
(もちろん草野球は基本的に和気藹々だけど)

次はセルフジャッジについて書いてみようと思う。

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