駅の看板。
やっぱり観にゃイカンでしょってことで、
公開初日、ネットで映画館の空き状況をチェック。
座席表を見ると、メチャクチャ空いてる。
公開日の2回目なのに。
実際、映画館は半分くらいの入りだった。
大丈夫か?
で、感想。
3時間超は長いけど、苦にならなかった。
賛否両論あるみたいだけど、ワタクシ的には面白かった。
開始5分くらいの123便への搭乗シーン、
この幸せそうな人たちが悲惨な事故にあうのだなと思ったら、
もう涙が止まらなかった。
アフリカとか飛行機のシーンのCGがショボ過ぎるとか、
豪華キャストなんだけど、「白い巨塔」とかぶっている人も多くて、
東教授(石坂浩二)とか大河内教授(品川徹)のシーンが浮かんでしまうとか、
木村多江は不幸な役(巨塔では癌患者)が上手いなぁとか、
そんなこともあったけど、面白かった。
試写会で渡辺謙が号泣したとおり、この映画の背景は複雑だ。
小説といいながら、明らかに実在の企業と実際の事故を描いているし、
フィクションとノンフィクションが混在している。
これをフィクションだからと、言い張ることには無理がある。
だからといって、すべて事実ではないのであろうし。
山崎氏の作品はそこが難しい。
映画のエンドロールの最後に、
「この映画はフィクションであり、
実在の企業その他を指したものではありません」
(↑正確ではなく、大意です)
というテロップが出る。
しかもその直後に、
「飛行機事故で亡くなられた乗客・遺族の皆様には
心よりお悔やみ申し上げます。そして、空の安全を心より願います」
(↑正確ではなく、大意です)
と続くのも、解釈に複雑さをもたらすものであろうと思う。
この映画に描かれていることを、特定企業の経営問題に
そのまま直結させて論じる人もいるが、それもまた違うと思う。
ある、朝の情報番組では、司会の有名タレント(キャスター?)が、
特定企業の経営問題のニュースのあとに間髪入れずに
「だから、沈まぬ太陽観てくださいよ。こういうことなんです!」
みたいなことを言っていたのを聞いて、我が耳を疑った。
事実を伝える報道と小説や映画を混同してはいけない。
そこには明確な線引きがあって然るべきだと思うのだ。
正直、司会者のメイディア人としての見識を疑うような発言だった。
「忠臣蔵」だって、あれは「仮名手本 忠臣蔵」という芝居である。
史実だと思っている人もいるのかもしれないが、
史実的には、「赤穂事件」という事件であり、
それを元に(というかヒントに)芝居になったのが「忠臣蔵」だ。
吉良上野介が浅野内匠頭に意地悪をしたというのも
実際のところはハッキリしていないし、
芝居上、勧善懲悪を際立たせるための演出が
あたかも史実のように一人歩きしている部分もある。
(吉良上野介にとっては、いい迷惑だ)
このへんは、話し始めると止まらなくなるのでやめておくけど、
いずれにしても、事実とフィクションの境目が混乱しやすいのも
山崎豊子氏の作品の難しいところなんだろうと思う。
ちなみに、航空会社勤務のワタクシの友人は、プライドと正義を持って、
空の安全を守るべく、全力で仕事にあたっている。(のを感じる)
当たり前の話だが、その責任感には並々ならぬものがあるのだろう。
人命を預かる大変な仕事なんだなとつくづく思う。
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