まだまだ暑いです。
気温35度の中、外回りをしていると死にそうになる。
あまり暑いので、少しは寒くなるかと、「残暑ざんしょ・・・」と、
つぶやいてみたら一瞬寒かったけど、後悔の念でさらに
暑さが増した今日この頃です。
本当に背筋が凍った昔の話。
15年以上前の夏のこと。
当時は1LDKのアパート暮らし。
2階には後輩が住んでいた。
隣にも後輩が住んでいたけど、数ヶ月前に引っ越した。
隣は若い男性が入ってきたけど、面識は無し。
ある日、仕事を終え、クタクタに疲れ深夜の帰宅。
明日も早いし早く寝ようと、
シャワーを浴びてベッドに入った。
すると、玄関のチャイムの音。
夜中に後輩が訪ねてくることは珍しくはなかったので、
「なんだよ、もう眠いんだよ」と思いながらも玄関を開ける。
するとそこには、後輩ではなくて見知らぬ若い女性。
髪が長くて痩せていて、白いレースっぽいワンピースを着ている。
ちょっと今風じゃない感じ。
「何か?」とワタクシ。
蚊の鳴くような声で、
「スミマセン。隣の部屋に来たんですけど、
玄関の鍵が掛かっていて入れないんです・・・
なんとか開けてもらえないかと思って・・・」
聞き取るのがやっとという声で、顔も上げずに言うのです。
ただならぬ気配を感じ取ったワタクシは、
一刻も早くドアを閉めなきゃと、
「ゴメンナサイ、ボク、隣の方を知らないんです。
それに鍵がないのに開けられないと思います。
スミマセン、失礼します」
と、ドアを閉めようとすると、すうっと一歩前に出て、
「鍵を壊すとか、何とかお願いします・・・」
と言うのです。
完全に、「こりゃやばい」と思ったワタクシは、
「鍵を壊したら犯罪になります。
とにかくゴメンナサイ~!」
と、強引にドアを閉めた。
とにかくそのおかしな雰囲気に、もう心臓はバクバク。
いったいなんだろう?
この世の人なのだろうか?
もうすっかり冷静な判断ができず、とにかく布団にもぐりこむ。
すると、数分後またチャイムがなる。
しかも、その鳴り方が、「ピンポン!ピンポン!」ならまだしも、
「ピン・・ポン・・・・・・ピン・・ポン・・・」と変な間を空けて延々続くのです。
そりゃもう地獄からの音に聞こえました。
しばらくは無視していたのですが、あまりにしつこいので、
勇気を振り絞って玄関のドアを開けた。
「スミマセン・・・隣の玄関を・・・」
「いやいや、もうそんなの無理です!
とにかくゴメンナサイ~!」
と、ドアを閉め、布団をかぶった。
その後、数十分にわたり、「ピン・・・ポン・・・・・ピン・・・ポン」
の攻撃は続いたのですが、もう完全に無視。
ようやくチャイムが止まり、その日は無理やり寝たのでした。
次の日、恐る恐る玄関を開けてみると、
とりあえずその女性はいない。
ああ良かったと思い玄関を出ると、
隣の玄関の横にあったはずの洗濯機が
隣のドアの前にずれている。
ふと視線を上にやると、玄関の上の羽目殺しの
ガラス窓が割れている。
まさか洗濯機に登って、ガラスを割って中に入ったんじゃと思い、
外階段をそうっと登り、割れたガラス窓から中をのぞいてみた。
・・・いました。
角度的に顔は見えなかったのですが、
白いワンピースを着て、壁にもたれかかり、
足をまっすく床に投げ出している。
なんだか人形みたいに。
多分、のぞいたのは十数秒だったと思うけど、
その足はまったく動かない。
メチャクチャ怖かったけど、仕事に行かなきゃいけないし、
とりあえず逃げるように部屋を閉めて職場へ。
さて、その日は早上がりの日で、
日も高いうちに自宅に帰ってきた。
家に着くと、おまわりさんのバイクが。
どうやら隣の家の中にいるよう。
聞き耳を立ててみると、ずれた洗濯機と割れたガラス窓を見て、
近所の人が警察に通報したらしい。
おまわりさんとのやり取りも、蚊の鳴くような声、
そのうえ、なんだか要領を得ない。
どうも隣の住人の男性を追って遠くから来たような雰囲気。
ああ良かった。
とりあえずこの世の人だった。
とはいえ、やっぱり雰囲気が普通じゃないし
とにかく怖かった。
今思えば、ちょっと病んでいたのかもしれない。
いつまでも、立ち聞きするわけにも行かないので自分の部屋に入る。
警察官に帰るように諭されていたし、大丈夫かなと。
今夜はあんな思いしたくない。
あんな不気味なチャイムの鳴らし方、そうそう出来ない。
完全にホラーな一夜でした。
幸いにもその晩は何も起こらず、のどもと過ぎれば
あっという間にすべてを忘れてしまうワタクシですが、
その次の日、さらに全身の毛穴が開くようなことが・・・
疲れたので、明日に続く。
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