ある原稿を書いていて、昔のことを思い出したりしていた。
まだ今の会社に入る前のコーチ修行時代、
っていうかコーチになりたての頃のこと。
自分がまかされたクラブには、
基本的にコーチは自分しかいない。
ヘッドコーチは週1回しか来ないし、
アルバイトの後輩も週末のレッスンに来るだけ。
つまり、練習したくても相手がいない。
しかたがないので、延々壁打ちをしたりしていた。
そのうち、近隣のテニスクラブのコーチを紹介してもらい、
少しずつ練習をつけてもらえるようになった。
もちろん、ワタクシのクラブまで来てくれるわけもなく、
こちらから訊ねていってお願いするのだ。
出稽古ってやつか。
しかし、それぞれにクラブの仕事もあるし、
オーナーさんの手前もあるから、
練習ばかりしているわけにもいかない。
ということで、毎日順番に知り合いのクラブを訪ねて回った。
そのうち、「そろそろ来ると思ってたよ」なんて言われたり。
それだけ、練習相手と環境に飢えていた時期だった。
あるとき、手っ取り早い究極の練習は、
試合に出ることだと気づいた。
相手も毎回変わるし、いちおう相手も本気だ。
自分が負けるってことは、相手のほうが強いわけで、
つまり、負けるまでは必ず強い相手と試合が出来る。
やはり、試合から得るものは大きいと考えた。
ちょどその頃、コーチのためのサーキットがあった。
毎月1回、あちこちのクラブ持ち回りで、
コーチ対象の試合がワンデイで行われた。
しかもこの試合、午前中がリーグ戦、午後がトーナメントだった。
つまり、負けてもまだ試合が出来るってこと。
これは本当に有り難いシステムだった。
そこには、色々なクラブやスクールのコーチが集まっていた。
大手スクールのコーチや、雑誌にコーナーを持っていた
有名なコーチまで様々。
当時は、雑誌に技術解説コーナーを持てるのは
ほんの一握りのコーチだけだったから、
まさに雲の上の方に見えたものだ。
武蔵野ローンテニスクラブのN籐さん、
神宮テニスクラブのA籐さん、
富士見が丘ローンテニスクラブのS木さんなど、
全日本選手権に出場していたような方々がたくさんいた。
(注:当時の所属です)
たぶん、いや絶対にワタクシの顔も名前も憶えていないだろうが、
そんな人たちと試合が出来るのが、嬉しくて仕方がなかった。
さすがに、お名前も実力もある高名なコーチの皆さんは強かった。
今まで見たことも無い球種と、狙われたことの無いコースに
いとも簡単にボールを運ばれ、あっという間に負けた。
とにかく、まったく相手にならなかった。
「これがジャパン(全日本)なのか・・・。まったく勝てない」
と、絶望的な気分になりながらも、試合には出続けた。
たぶん勝率は3割すら下回っていたと思うのだが、
それでも負けることで、毎回課題が見つかったし、
なによりも、全日本レベルというものを
肌で感じられるというのは貴重な経験だった。
本当に良い経験をさせてもらった2年間だった。
やはり、実戦で得るものは大きい。
いつも同じメンバーで練習をし、
試合をするのとは違った収穫がある。
試合は究極の練習だなぁと感じた。
原稿を書きながら、そんなことを思い出した。
ところで、今はコーチのための試合ってあるのだろうか?
最近のコーチは激務だしね。
なかなか時間も取れないのかな。
試合に出るコーチはJOPを追ってあちこち出場してるけど、
試合に出ないコーチはまったく出ない。
これは年齢関係無く、二極化されているような気がする。
試合に出過ぎて、仕事にならないのも問題だが、
やはり向上心を持ち続けることは大事。
伸び盛りの時期ってあるしね。
仕事とのバランスをとりながら頑張って欲しいと思う
今日この頃なのだ。
で、もうひとつ思い出したことがあるのだが、
これは明日にでも。
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