ということで、お貸しいただいた貴重なラケットの続き。
実は前回紹介したウイルソンのジャック・クレーマー プロスタッフの他に
目玉がもうひとつあった。
ジャック・クレーマーはマッケンローが使っていただけあって、
ある年代の多くのテニスファンが知っているラケット。
その他に、個人的に再会したいラケットがあった。
ウッド時代がまだ終わりを告げる前、日本を代表する
ラケットメーカーのひとつであるフタバヤラケットから
発表されたモデルがある。
当時の国産ウッドラケットの中でも、定番といわれるモデルは
非常にオーソドクスな形が多かった。
そんな中、デザイン的に斬新でありながら、
選手使用にも堪えうるモデルが発表された。
それが、「SLIM」である。
実は忘れていたのだが、4色もあったのだ。
たしか、一番最初は左端のカラーだけだったと思う。
その後、カラーが追加されたということは、
セールス的にも成功したモデルなのだろう。
この角度からだと、フラットビームであることが分かると思う。
標準装備のストリングを渡す丸いレザーが泣かせる。
そしてホワイト(黄ばみそうな予感もあるが)
グリップ部に注目。
ブルーのテープには、「MEDIUM」とサイズ表記が。
新品ということである。
この「SLIM」、たしか、平井健一プロが使用していたと思う。
性能的にも上質だったということだろう。
しかし、ウッドラケットとは思えないほどに
洗練されたデザインである。
どこまでもフラットビームなフレーム。
ウッドラケット定番の剣先などが無い。
果たして、これでフレーム強度が出せるのだろうかと
思ってしまうようなフレームデザイン。
これは、この頃からフレームにグラスファイバーを
サンドイッチする構造が可能になったからだろうか。
他メーカーだと、ヨネックスの「カーボネックス」なども
新素材をサンドイッチしたフラットビームだった。
実はこのSLIMも、ワタクシは使っていない。
同じテニス部の仲間が使っていたのだが、
そいつがあまり強くなかったので、
テニス部の中では、あまり強いラケットという
印象が無かったのだ。
しかも、表面の塗装が非常にデリケートだったようで、
使っているうちにペリペリと塗装が剥がれ、
最終的にはロゴが無くなるという欠点も抱えていた。
たぶん、フレームのしなりと塗装のマッチングが悪かったのだろう。
とにかく、今までとは一味違うラケットが出現しはじめた時代だった。
ああ、懐かしかった。
やっぱり、見ると欲しくなるぞ。
でも、我慢ね。
ご協力いただいたS様、ありがとうございました。
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